ヒドロキシ安息香酸の異性体における性質の違い

ヒドロキシ安息香酸について学ぶ上でサリチル酸をベースに考える。

サリチル酸はベンゼンの水素のうちの1つがヒドロキシ基に置換され、さらに、ヒドロキシ基から見てオルト位の水素のうちの片方がカルボキシ基に置換された構造をしている。

また、カルボキシ基がヒドロキシ基から見てメタ位、パラ位に位置する異性体が存在し、サリチル酸に対して異なる物性を持つ。

融点の違い

■融点

  • サリチル酸:158-161℃ 
  • m-ヒドロキシ安息香酸:201℃
  • p-ヒドロキシ安息香酸:213-217℃

サリチル酸 << m-置換体 ≒ p-置換体

サリチル酸の融点がその他二つの異性体に比べ、相対的に融点が低い。これは、立体構造の違いから生じるものである。

サリチル酸は分子内でヒドロキシ基の水素とカルボキシ基の酸素が水素結合する、分子内水素結合を有する構造を取っている。そのため分子間に働く相互作用はあまり働かない。

一方で、m-置換体、p-置換体は分子間で水素結合を取れる構造を有する。つまり、分子間での相互作用が強まるため、融点が高くなることを裏付ける。

酸性度の違い

■pKa(第一段階目)

  • サリチル酸 : pKa = 2.78
  • m-ヒドロキシ安息香酸 : pKa = 4.07
  • p-ヒドロキシ安息香酸 : pKa = 4.47

サリチル酸 > m-置換体 ≒ p-置換体

サリチル酸の酸性度はその他二つの異性体に比べ、相対的に高い。これも、融点の違いと同様に立体構造の違いから生じるものである。

酸性度の強弱は、電離後の共役塩基の安定性から判断できる。

サリチル酸の共役塩基は、カルボキシ基の負電荷を持つ酸素が、隣接するヒドロキシ基の水素と分子内水素結合を有する構造的有利性がある。

このため、クーロンエネルギー的に安定化された状態になり、その他二つの異性体に比べ、相対的に酸が解離しやすい。

分子内水素結合による安定は酸性度を強めることに大きく関与している。それは、その他のカルボン酸の酸性度と比較すると分かりやすい。

  • サリチル酸:pKa = 2.78
  • 酢酸:pKa = 4.76 
  • 安息香酸:pKa = 4.21

<参考サイト>
放課後化学講義室:隣接基効果~ヒドロキシ安息香酸の融点・酸性度