翻訳された5月の風を聴く

突然ですが5月の晴れた日って最高だと思いませんか?

湿気が少なくて風が心地よくて、まさに地中海性気候。筆者は日本の季節でこの時期が一番好きです。

この時期の旬な食べ物と言えばカツオでしょうか? カツオのタタキが食べたくなってきました。

食べ物に旬があるように、音楽にも旬のものがあると筆者は常々考えているのですが、5月に聴くとハッピー感が高まる曲というのが存在するんですよね。

『By the Way』

筆者は音楽を聴くことが生活の一部になっていて、毎日窓を開けて風を流し、部屋の空気を入れ換えるように、毎日スピーカーから音を出して、部屋の空気感を調節しています。

5月になると毎年ヘビーローテーションする音楽があって、それはレッド・ホット・チリ・ペッパーズ(通称:レッチリ)というアメリカのロックバンドのアルバム 『By the Way』なんです。

このバンドはカリフォルニアを拠点として活動する世界的に有名なバンドなのですが、筆者は大好きで、特にギタリストのジョン・フルシアンテはヒーローです。

ジョンは10年間バンドを脱退していたのですが、昨年末に復帰のアナウンスが流れ、人生でまたあの音をライブで聴けるのか!と飛び上がるくらい嬉しかったのを覚えています。

そんなこともあって今年の5月は、いつも以上に部屋がレッチリムードなのですが、しかしなぜいつも5月にハマるんだろう?という疑問が湧いてきたわけです。

もしかしたら分子レベルで何か作用しているんじゃないだろうか? 

最近化学の勉強をおさらいしたこともあって、このような仮説が頭に浮かんだわけですが、これを機にその謎について迫っていきたいと思います。

アルバムに封じ込められた空気

よく、「この音楽には空気感がある」という表現が使われます。

それは作り手が音色などを操作して意図的に作るものであり、作り手の感性のフィルターを通して、あるイメージが音の世界に翻訳されたものです。

5月に無性に聴きたくなるアルバム『By the Way』は、カリフォルニアのLAで録音されており、LAで暮らすバンドメンバーの感性が如実に反映されているものと想像できます。

アーティストは通常の人よりもセンシティブな傾向にあるので、外的要因、とりわけ気候については敏感です。それ故にアルバムを作る際には、“インスピレーションが湧く”場所を戦略的に選んで録音に臨むバンドは多いです。

つまり『By the Way』にはカリフォルニアの空気感がアーティストを介して注入されており、リスナーはそれを堪能できるというわけであります。

では、なぜ筆者の場合、5月にこのアルバムを聴くと他の時期よりも音が体に染み込みやすいのでしょうか?

そこで、“空気感”という言葉で使われる、現実世界の物質の空気について注目してみることにしました。

5月の東京とLAの空気感について

地球の空気は窒素を主として、酸素、アルゴン、二酸化炭素などのガスが集まったものです。また、空気は温度に応じて一定の量の水蒸気を含むことができます。

水蒸気の量は時と場合によって大きく異なるので、ここに何かヒントがあるだろうと思い、レッチリの音楽が録音された場所であるカリフォルニアと東京の湿度を比較してみました。

出典:https://www.weatherbase.com/compare.php3

Dew Pointとは「露点」のことで、空気に含まれている水蒸気が水滴になるポイントを表します。

出典:https://www.try-it.jp/keyword_articles/58/

つまり、露点を計ることで空気中に水蒸気がどれだけ含まれているか(湿度)が分かります。

グラフを見ると分かるように、5月の平均露点はカリフォルニアと東京で一致していますね!

出典:https://www.weatherbase.com/compare.php3

5月の平均気温もほぼ一緒!

出典:https://www.weatherbase.com/compare.php3

気温が同じであっても地理の違いによって湿度は異なりますが、以上の2点から5月のカリフォルニアと東京は、空気中の水蒸気量がほぼ同じであることが分かります。

よって、5月の東京のリアルな空気感はカリフォルニアのそれと似ているため、現地のアーティストによって作られた音楽が旬なものとして心に響くのではないか?と結論付けました。

また、この『By the Way』は11月~5月の間にレコーディングされたとのこと。

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/By_the_Way

つまり、レコーディングの終盤で行われる音色調整が5月になされたものと想像できます。

したがって、カリフォルニアの5月の空気感がドンピシャで作品に封入されているものと推測できるので、とりわけこのアルバムが東京の5月の空気感にマッチするのではないか?と考察しました。

以上のように、音楽を聴く際には、その音楽がどこでどの時期に作られたかをチェックすることで、楽しみ方が一層広がるかと思います。

それでは最後に、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのアルバム『By the Way』より、「The Zephyr Song(そよ風)」をお届けします。

カリフォルニアの風を感じましょう!