もうすぐ桜が咲きますね

 ご無沙汰しております。2021年になってからは記事を投稿できておらず、あっという間に桜が咲く季節を迎えています。

 ここ2ヶ月半はとことん自分と向き合う日々を過ごし、翻訳における弱点の克服と能力の開発に集中して勤しんでおりました。

 やはり自分は特許に深く関わるキャリアを築きたいのだ、という気づきが得られたのもこの間の収穫の一つ。

 「仕事」「学習」の観点から行動を振り返っていきたいと思います。

仕事関連

【ジョブ】

 ライフサイエンスに関わる産業翻訳のご依頼を継続的に承り、1件1件全力で取り組んできた結果、契約レートを上げていただくことになりました。

【トライアル】

 特許翻訳のトライアルへの応募は継続的に続けており、新たに2社と契約し、医薬・化学分野の翻訳者として、持続可能なレートで登録していただきました。

学習関連

言語変換力の向上

【和訳】

 基礎的な力をさらに一段高めるために、『翻訳の布石と定石』を活用して、翻訳作法を学び直しました。

出典:https://www.sanseido-publ.co.jp/publ/gen/gen3eng/hony_fujoseki/

 知識の定着を図ると共に、エクセルに訳例と解説を項目ごとにまとめてサブノートを作成。これにより、翻訳時に文法的処理で迷いが生じた場合、迅速に検索できるようになりました。

エクセルのシートごとに重要項目を分け、訳例と解説を記載。

【英訳】

 学習の参考にしている本は『外国出願のための特許翻訳英文作成教本』です。この本は、実際に例題を翻訳しながら読み進めていくうちに英訳の勘所を押さえられる良書だと思います。

出典:https://www.maruzen-publishing.co.jp/item/?book_no=294800

 機械翻訳では到達できない、権利化・権利行使に耐えうる訳文の生成方法を学ばせていただいています。

専門分野の拡張

【 バイオ・医薬分野の翻訳力強化】

 バイオ・医薬分野の学習を継続しており、対訳・用語収集を行って、現在は下記内容の翻訳に対応できるようにしています。

抗体医薬、核酸医薬、遺伝子治療、がん免疫療法、
ワクチン、ゲノム編集、再生医療

 また、これらの技術動向をエクセルにまとめておき、最新技術にキャッチアップできるようにしています。

【学会誌購読】

 日本生化学会に入会し、過去5巻分の学会誌の特集を読み進めました。学会誌の情報により、最前線の研究内容を知ることができますし、洗練された文章を読むことで、分野特有の言葉の使い方を適切に身につけることができると実感しています。

法律(実務)知識の習得

 権利書である特許明細書を翻訳するということは、権利化・権利行使に関わるということ。審査や裁判において参酌される明細書は、原文ではなく翻訳文で書かれたものですから、翻訳者も明細書が書けるレベルまで実務の知識を有していなければならないと考えています。

 そのためには相当のエネルギーと時間を注ぐ必要があるので、少しずつですが勉強を進めることにしました。

 まずは専門分野での実務知識を得るために、『化学・バイオ特許の出願戦略』を読み進めています。

出典:https://ssl.shiseido-shoten.co.jp/item/9784806530558.html

 サポート要件や明確性要件など、翻訳に関係が深い特許要件についての理解を深めていくと、訳語確定に対するアプローチが変わってきます。

 例えば、広い範囲で権利が取れるだろうからと、安易に抽象度の高い訳語を採用しても、明確性に欠けていたり、誤解が生じ得るので、等価な言語変換が徹底されるように、より粘り強く調査を行うようになりました。

 また、書籍を通じた学習の他、審査基準や特許事務所のコラムを読んで実務の事情を知ることに励んでいます。

まとめ

 言葉によって抽象的な概念を規定し、人々の営みを円滑化させてよりよい社会を形作っていく。法律文書に関わることはとてもクリエイティブなことだと思います。

 ここ数ヶ月間で、特許翻訳の奥深さと面白さを改めて実感し、研鑽を積んでより深いレベルで関わっていきたいと考えるようになりました。

 少しずつですが自分の能力も上がって、見える風景が変わってきました。1日1日やるべきことをやってさらに前進していきたいと思います。